【医師に聞く】20代に多い「スマホ老眼」って何?
スマホの使いすぎは、目に悪影響を与えるのだろうか。さまざまな疑問に答えていただいた。
[この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
【この記事の監修医師】
小西美奈子先生(こにし・もりざね眼科 院長)
慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学病院、済生会神奈川県病院、国立病院機構東京医療センターの各勤務、済生会神奈川県病院眼科医長就任をへた2004年、こにし・もりざね眼科院長就任。専門である「オキュラーサーフェス(角膜疾患、結膜疾患、ドライアイ、アレルギー性結膜炎など)」を軸に、目の総合的な診断・治療をおこなっている。日本眼科学会認定眼科専門医。日本角膜移植学会、日本角膜学会、日本眼科手術学会、日本弱視斜視学会、日本抗加齢医学会の各会員。
ズバリ、「スマホ老眼」とはどのような症状のことですか?
小西先生:
目の疲れによってピントの調節力が働きにくくなった状態の通称です。ピント調節筋は、近いところを見るときに使うんですね。遠くは力を抜いていても見えます。ですから、主に手元側が見にくくなり、老眼と同じような症状になるのです。
仮性近視とは違うのですか?
小西先生:
違います。仮性近視は、ピント調節筋の緊張が解けなくなって、“遠くが見えづらくなる”状態のこと。目の筋肉がこわばってしまうのです。 老眼やスマホ老眼とは逆の見え方になります。
「スマホ老眼」は、どのような年代に顕著なのでしょう?
小西先生:
実は、スマホを使っている限り、どの年代でも起こりえることです。ただ、40代以降の方はもともと老眼の傾向にありますので、自覚が薄いのです。むしろ、若い方のほうが気付きやすい。そのような事情もあり、「スマホ老眼は若い方に多い」という図式ができあがってしまったのではないでしょうか。
本当の老眼なのか「スマホ老眼」なのかは、区別できるのですか?
小西先生:
視力検査による診断が可能です。老眼とは、目のレンズにあたる水晶体が硬くなった症状のこと。いつでも近くが見えにくくなります。なります。他方の「スマホ老眼」なら、普段は近くは見えますがスマホ使用後に近くが見えにくくなります。実際はもう少し複雑ですが、もともとの視力を元に判断していきます。
どのような行動が「スマホ老眼」を招くのでしょう?
小西先生:
近い位置で目を使い続けることです。例えば本を読む場合、一般的には30センチほどの距離を置きますよね。ところがスマホの場合はもっと近くて、半分くらいの距離で見る人もいるのでは。この距離は、人間が自然にピントを合わせられる位置のギリギリか、むしろそれを少し越えています。ですから、スマホ固有の通称となったのではないでしょうか。
暗いところでスマホを操作する影響はあるのですか?
小西先生:
よく「暗いところで目を使うと悪くなる」と言われているものの、実は、因果関係が示されていません。目にもっとも悪影響を与えるのは、やはり「距離の近さ」と「長時間の操作」です。
老眼状態以外で起こりえることがあったら教えてください。
小西先生:
ドライアイに加え、スマホを操作する姿勢によっては肩の凝りや頭痛などが考えられます。スマホに集中すると、まばたきの回数が減ってくるので、目の渇きを起こすのです。元からの眼精疲労に加え、よりショボショボした感覚が出てくるでしょう。
普段から気をつけたいことはありますか?
小西先生:
「スマホをできるだけ離して操作する」、「適度に目を休ませる」、「遠くを見る」、「意識的にまばたきする」などでしょうか。スマホを目から30センチも離すと、きっと、見にくくなるでしょう。しかし、できる範囲で頑張ってみてください。
メガネを活用するのはどうですか?
小西先生:
ピント調節筋の負担を軽くしますから「有効」といえるでしょう。40歳以下の方でも、目の疲れ具合によっては、軽度の老眼鏡を用意してみてもいいと思います。
目が疲れてしまったときのアドバイスもお願いします。
小西先生:
血流を増やす意味もかねて、ホットタオルの活用をお勧めします。ホットタオルに限らず、目の周りを温めてくれるグッズも販売されていますよね。逆に、冷たいほうが気持ちいいという方は、それでも構いません。「疲れが取れた」と感じるほうを選んでみてください。
目薬はどうなのでしょう、ドライアイにも有効な気がします。
小西先生:
市販の目薬の中には、刺激成分などが強すぎて、かえってドライアイを悪化させるものもあります。たしかに目薬をさした瞬間は「スッキリ」するものの、その後が心配ですね。本来、爽快感は「目に必要ない」感覚です。もちろん、眼科医院で処方した目薬なら問題ありません。
どのようなときに治療が必要なのでしょう?
小西先生:
前述した注意点を守っても症状が改善されず、お仕事や生活に支障を感じた場合は、遠慮なくご相談ください。メガネや点眼薬による治療をおこないます。
やはり、スマホの使いすぎは、目に良くないことなのでしょう。見え方に悩む患者数が増加しているのも、あながち無関係とは言い切れません。スマホを「使うな」とは言わないまでも、距離や時間の工夫ならできるはず。また、仕事の都合上などやむをえない場合は、メガネの活用を検討してみてください。
Medical DOC
【医師に聞く】20代に多い「スマホ老眼」って何?
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【引用元ページURL】https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190919-00000022-nkgendai-hlth